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粉瘤と感染性粉瘤の治療について ~アテロームでんがな(大阪弁)~ その2

本日は、アテロームでんがな(大阪弁)の2回目ということで、書き進めて参りたいと思います。

アテロームは、外傷や毛穴が詰まって真皮内に表皮成分が混じり込んでできてしまいます。
日本語で「粉瘤」と書いて「ふんりゅう」と読みますが、ここで日本語の素晴らしさを
感じることができます。

また、脱線してしまいそうですが、「粉」というのが「角質=垢(あか)」を表わしているんですね。
「瘤」は文字通り、垢の成分をためた袋がこんもり盛り上げって「瘤」状に見えるんですね。

つまり「粉瘤」という病名は、できものの「成分」と「状態」をたった漢字二文字で表現して
しまっているんですよ!
英語で、アテローム(atherome)って言いますが、字面だけ眺めていても何も分かり得ません・・・。
やっぱり日本語って素晴らしいと思いませんか!?

ちょっとここで、皮膚の断面図について触れておこうと思います。
皮膚の断面はといいますと、
上から
①角質
②表皮
③真皮
④脂肪を含めた皮下組織
と分かれます。

そして「角質」は、表皮の基底細胞(表皮突起)の一つの細胞が細胞分裂を繰り返し、
徐々に皮膚表面に上がって来ます。
最終的に細胞の「核」が消滅し、死んだ細胞である「角質=垢」になるんですね。
普通は、外に開かれた空間で角質がどんどん作られては皮膚表面から剥が落ちて行きます。
これを皮膚のターン・オーバー(turn over)と呼び、大体28日周期なんですね。

ところが、毛穴の出口付近が詰まったりしますというと、毛穴の中は”閉じられた空間”となり、
角質が排出できない状態となってしまいます。
(毛穴の竪穴は、もともと表皮細胞が取り囲んでいます。毛穴の中では、角質がどんどん作られて、
作られた角質は、次々と毛穴から排出されています。)
その結果、毛穴の出口が詰まって→中に垢が溜まって→粉瘤が出来上がります。

さて、角質をたっぷり溜めた袋なんですが、手術ではこの袋を綺麗に取り除いてあげる必要があります。
袋の内側は、「表皮細胞」で覆われているので、もし手術中に袋の一部の「表皮細胞」が取れ残ったら、
時間の経過とともに、また袋を完成させて見事に「粉瘤」が再発してしまう恐れがあります・・・。

要するに「粉瘤」を再発させないためには、袋全体を取り残しなく完全に取り除かねばなりません!!

あと、やや専門的になりますが、粉瘤を良く観察しますというと、
黒っぽく少し凹んだ毛穴みたいなのが見受けられることが多いのですが、この「黒い凹み」のことを
僕たちは、「臍(へそ)」と呼んでいます。
手術後に「粉瘤」を再発させないためには、この「臍」周囲の皮膚も丁寧に切り取らないといけません。
「臍」を残しておくと再発する恐れが高くなります・・・。

次に「粉瘤」が化膿したものを「感染性粉瘤」と言いますが・・・。
袋の中の垢なんですけど、バイ菌の格好のエサになるんですね。
ずばり化膿しやすいんですよ。

化膿した場合は、治療の手順がややこしくなります。
①赤くなって
②腫れて来て
③熱を持って
④痛くなって
⑤膿が出て来たり
します。

いわゆる「炎症症状」が出て来て、患者さんが慌てて来院されます。

でも、炎症が起こってしまった場合は、すぐに袋を取り出す手術が行えません・・・。
いわば、袋の中と周りの組織に「火事」が起こっていますので、それを鎮火させることが先決となります。

そのため、
①「粉瘤」とその周りに部分麻酔の注射のあとメスで「切開}し中の「膿」を絞り出します。
これを「排膿」と言います。
 →この時、独特の悪臭が漂ったりしますので、あらかじめベッド近くの窓を
 全開にして換気しなければ、鼻が死ぬことになります。(笑)
その後で、
②袋の中の消毒と切り口周辺部の消毒を行います。

あと、抗生剤の内服を一週間ほどして頂きます。
切開部分の消毒処置を毎日行っていきますと、「感染性粉瘤」は徐々に腫れ・赤みが治まって参ります。

7~10日後、膿が全く出なくなって切開部分が落ち着いたのを確認して、今度は仕上げの縫合手術に
入ります。

部分麻酔の注射を「粉瘤」の周辺に万遍なく打った後、炎症を起こした周囲組織をひとかたまりとして
メスおよび外科剪刃で摘出します。

炎症を繰り返した経過の長い「感染性粉瘤」は、広範囲が「瘢痕」という硬い組織で覆われている
ことが多く、こういった場合は、無理に瘢痕組織を取り除くには組織欠損が大きすぎますので、
摘出範囲は切開部分の周囲の小さい範囲に留めることになります。

瘢痕摘出後は、バイポーラーという凝固装置で出血部位を丁寧に止血操作します。
その後、埋没縫合(中縫い)を透明のナイロン糸で行います。
この中縫いは、抜糸後も傷が開かないように皮膚内に残り続けます。

中縫い後は、黒色のナイロン糸で表皮縫合(表縫い)を行います。
表縫いは、通常一週間後に抜糸を行います。

「粉瘤」は、ごくまれではありますが、悪性変化がありますので、摘出した標本は病理検査で
悪性変化が無いかどうか確認する必要があります。

今回は、処置がややこしい「感染性粉瘤」について、詳しくその経過を書きました。
感染していない素の「粉瘤」は手術が楽しいんですね。

次回は、素の「粉瘤」の手術について、その楽しさの一端に触れてみたいと思います。

お楽しみに。

それでは、また。

クリニックのホームページへ飛ぶには、下のURLをクリックして下さい。
(医)美咲会 ふくずみ形成外科  
http://www.fukuzumi.jp/
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粉瘤と感染性粉瘤の治療について ~アテロームでんがな(大阪弁)~ その1

きょうは、粉瘤と感染性粉瘤の治療について書いて見たいと思います。

粉瘤は、できもの(おでき)の中で一番多いものなんですね。
誰でも一生の間に一つや二つ体のどこかにできてもおかしくない、「おでき」です。

英語で「アテローム」と言うんですが、一般の方でも「アテローム」が通じる場合がちらほら
出てきました。

外来にて、
患者さん:「あのぉ、アテロームができたんですけど・・・。」
私:「どれどれ、どこにできましたぁ~?」
患者さん:「右肩のこの辺にぃ・・・。」
私:「ほんとほんと。あったあった。アテロームですね。」
患者さん:「やっぱりアテロームでしょう!」
私:「アテローム、アテローム。うん、アテロームに間違いないですぅ。」

てな、感じです。

「アテローム」という言葉は、動脈硬化でも使われるんですけどね。
この場合は、日本語で「粥状硬化」なんて訳されます。
血管の内部の壁にアテロームの瘤ができて(アテローム変性)、それがだんだん大きくなり、
終には血管を詰まらせてしまう恐れがあるんですね。

心臓で起これば「心筋梗塞」
脳動脈でおこれば「脳梗塞」
と、恐ろしい生命の危機に直結する重大な病気になってしまいます・・・。(コワァ)

ちょっと脱線してしまいましたが、皮膚にできる「アテローム」は99%以上が良性ですから
気が楽です。

患者さんには、
「部分麻酔の注射で、日帰り手術を行っていますよぉ!」
「手術時間は、30分くらいで、健康保険が使えて大きさにもよりますが、自己負担分は
大体1万円位ですよ~。」
「手術後当日はお風呂に入れませんけど、次の日から防水テープを貼ってもらえれば入っても
いいですよ~。」
「抜糸は一週間後ですけど、毎日通院しなくても大丈夫ですよ~。」
「消毒剤・ガーゼ・テープをすべてお渡ししますので、ご自分で消毒処置を
して下さいね。(ハート)」
「心配な方は、毎日通院して頂いても結構ですよ。当方で親切に消毒の上、ガーゼ交換させて
頂きますので。(ハート)」

なんて説明しまして、術前検査として採血にご案内します。
血液検査では、貧血の有無・血の固まりやすさに異常がないかどうか・B型肝炎やC型肝炎と言った
感染症の有無を調べます。

ややっ!?
今日は、日常の診療風景ばかり書いてしまい、「粉瘤」と「感染性粉瘤」その原因、手術内容について
まったく書いてないですね・・・。

脱線で疲れてしまったので、次回以降に書いていきますね。

それでは、また。

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